『全国大会出場までの過程を振り返って』 澄川中学校男子籠球部 顧問 佐藤寿美子
大観衆、大歓声。感動の“きたえーる”からもう7ヶ月が経ちました。地区大会からの1ヶ月半余りは私にとって夢の中のような毎日でした。顧問を引き受けることになったのもホンの成り行きでしたので、なんの実感も経験も覚悟も心構えもなかった自分が、いつの間にか、“全国大会出場部顧問”になってしまったと言うのが正直な感想です。今振り返ってみても、様々な偶然が積み重なっての全国出場だったと思います。
3年前の4月、どの学年も7,8人のこじんまりとした部活が、今回の子ども達の入部で一気に倍に膨れ上がりました。ほったらかしの状態でも全員がミニバス経験者なので与えられた時間は自分達で工夫しながら楽しそうに練習していました。“プレーをするのは君達だから自分達で上手くいったところ、拙かったところを話し合え”と言うと、小さな頭を寄せ合って反省をしていた事が強く印象に残っています。そのような中から自然とリーダーが育っていきました。何も手を掛けないまま迎えた1年生大会であれよあれよという間に地区大会優勝を果たし、全市にコマを進めました。厚北中相手に善戦しベスト8。びっくりしました。
2年前の春から、丸谷さんが正式に外部コーチとして就任し、二人で運営をする事になりました。3年生の意識も高く、全員で全市大会出場を目指すという気運が高まってきました。どこの学校もやっている事だとは思いますが大会ごとに目標を設定し、その目標をクリアするため必要な努力は何か、繰り返し繰り返し教え込むコーチの姿がとても頼もしく、新鮮に写りました。この辺りで私の腹も決まりました。目標を全道大会出場に切り換えて臨んだ中体連。地区は大接戦で東海四中を振り切り全市出場。全道出場の夢は破れましたが、怪我を押して出場し、最後まで勝負を捨てない3年生の姿はベンチや応援席の2年生に大きな感動を刻みこみました。「普段はほとんど喋らない子があの日戻ってきて、『俺達の番だ!』と言ったんです」とは、あるお母さんの話。その言葉にはどんな気持ちが込められていたのか…。『ヨッシ!!』と何かしら覚悟をしたんだと思います。
語り草になっている夏休みを殆ど全員で乗り越え、満を持して臨んだ新人大会は北栄中に2回戦負け。練習試合で負けなしの天狗の鼻を見事に折られてしまいました。その後の練習は目に見えて真剣になりましたが、それゆえに色々な問題も表面化しました。「スタートから全力で取り組めない」、「相手を見る」、「声が出ない」、などなど。学校生活上の細かなきまりの遵守も含めてコーチや顧問から説教の毎日で、子ども達も私自身もうんざりとしていた時期に、札幌選抜の練習を見学にいきました。高橋先生が『バスケットを通して人生に大切な事を学んで欲しい』と子ども達に語り掛けているのを聞き、自分を後押しできました。「人間を育てるんだよ」と。
南区大会の優勝から弾みがついて、何時の間にやら『夢はでっかく、全国制覇』が合言葉になりました。部長の「厚北のメガホンには『全国制覇』と書いてある。最初からみてるところが違う」という言葉がきっかけでした。 「夢はでっかく持つ。目標は全国制覇。昔の自分がこの目標に決まった時は、正直言ってこんなでかい目標立てていいのか?口だけで終わったらカッコ悪いなと思ってた。そんな事を思い出すと今の自分は、昔の自分より大分変われたなって少しは誇らしく、嬉しく思う」スタメンの一人が全国大会後に書いた文章です。この事からもわかりますが『目標は全国制覇』と口にする事で、少しでもその目標にふさわしい部活動に近付こうという気持ちがみえだし、張りを持って生活できるようになりました。当然の事、つまらない事で注意をする場面が減っていきました。気持ちが変わると行動が変わると言うのはこう言う事かと納得できました。
3年の春の選手権。準々、準決と粘りに粘って勝ち進んだ決勝は厚北中の高い壁に阻まれましたが、全市2位という結果は自分達への大きな誇りと自信となりました。「努力をすれば結果は後からついてくるというのはホントだった」これもある部員のコメント。私も「努力は人を裏切らない」という歌の文句を実感しました。
全国大会までの道程を振り返って子ども達の心の成長を考えた時、何よりも大きな糧は公式試合、練習試合を通して多くの指導者の方々と巡り合った事、真摯にバスケと向き合う大勢の選手の姿に接した事です。先生方の温かい励ましや厳しい指摘がなければ全国大会までコマを進める事などは到底かなわなかったでしょう。子ども達も私もコーチも皆さんに育てていただいたという気持ちでいっぱいです。
“きたえーる”の大観衆の前で臆する事なくコートを駆け回っていた姿を見て、関わってくださった皆さんに少しでも恩返しができたのでは無いかと思いました。
3月15日、子ども達はそれぞれの進路に向けて巣立っていきました。全員が進学先でもバスケを続けると言っています。これもまた恩返しになるのかなと考えています。多くの仲間に全国大会の感動を伝えて欲しいです。
最後になりましたが、大会運営に関わってくださった札幌市中体連の先生方を始め、協会の方々、快く練習に参加させてくださった高校の先生方、支えてくださった保護者の皆さん、澄中の先生方、全ての方々に感謝します。
本当にお世話になりました、ありがとうございました。